先日横浜のパシフィコ横浜で開催されていた木と住まいの博覧会内で京都大学の・五十田博教授のセミナーに参加致しました。今後弊社でも木・RC等の混構造に対応していけるよう参加が可能な東京本社・大宮支社の社員20名で参加致しました。
五十田博教授は京都大学生存圏研究所の教授でCLT建築の研究・法整備、木・混構造等の構造基準の整備、その他海外での木造の建築実験や基準等整備、海外事例と日本事例の比較研究等行っている方です。
今回のセミナーは「木材の建築利用と損傷制御型建築の実現」というタイトルで、木材の日本における今後の建築利用の展望・海外事例の紹介がメインテーマでした。
内容を簡単にではありますがご紹介いたします。
■木材を適材適所に使うことで木の持つ能力を最大限に発揮できる為損傷制御の建築物(地震や自然災害などの外部要因による損傷を最小限に抑え、安全性を確保するための設計・技術による建築物)の構造形式としても木の混構造はとても有効である。
■木は生きてる間CO2を吸収し木材として切られてからもそのCO2を吸収したまま保持出来るので木材を使う期間を長くすればするほど大気へのCO2排出を少なくできる。
■海外では地球温暖化防止対策への関心も高く地震も少なく土地が広いなど日本とは条件が違うため木質系建物で20階建を越えるものも出てきているが、日本だと諸条件もあり炭素の固定化というメリットだけだとコスト・後期の面で建物の木質化がなかなか受け入れてもらえない。しかしコスト・工期の面でも木とその他構造との混構造は有効な面もある。
■混構造(RCの上に木造など)は構造的に難易度が上がるが現在ルート1・2で計算できるように構造の法整備しているところ。
■CLTも高層だけではなく2階建て程度(300㎡未満)の低層に使いやすいように住宅用の金物で計算できるよう仕様規定を告示に制定する法整備も進んでいる
今回のセミナーを聞き以前よりも国内における建物の木質化への基盤作り・整備推進が進み、設計的なハードルが下がってきているのを感じました。数年前北海道の森林管理局の方のお話を伺う機会があり、その際日本の森林は今国産材が余っているため高齢化している。森を健全に保つには伐採と再生のバランスが重要でこれが持続可能な森林資源の確保と生態系の維持に影響を与える。気候変動の影響でゲリラ豪雨等あった場合今までは森が水を蓄積してくれてそれを少しずつ放出してくれていたが森が健全でないと土砂崩れなどの自然災害につながっていく。これからの日本のためにも森林を健全に保つことがとても重要。とおっしゃっていた言葉が忘れられなく、単純な発想ではありますがそのためにも機会があれば建物の木質化を進める事に何かしら携わることが出来たら。。と思っていました。
三輪設計はRCの建物の設計業務がメインではあります。しかしそう遠くない未来にでも是非建物の木質化に協力し、それを通じ未来の日本ないし地球環境への貢献が少しでもできたらと強く思います。
地球温暖化防止対策としての建築分野での木材利用を建築主にわかりやすくデータで提示できるようにこちらのHPで収集したデータを公開しているそうです↓